愛知県の小麦状況と「ゆめあかり」「きぬあかり」

愛知県の小麦収穫量は東海地区で"NO.1"です。
全国では5位の生産量になります。（10a当たりの収量が高く、30年度産では全国"NO.1"）うどん、きしめんなどが暮らしに根付いた地域柄、積極的に小麦生産が行われてきた地域です。

2013年度産から「きぬあかり（愛知県育成品種）」が育成の中心となり収量もアップ。
2014年度産より「ゆめあかり（愛知県育成品）」を試験作付し徐々に収量アップを目指している。

ゆめあかり

愛知県産の待望のパン用小麦。
パンの膨らみを生み出す良質な3種のグルテンを有します。中でも、製パン適性を高める遺伝子（Glu-Dld）を持っているため、良く膨らむパンが作れるという特徴があります。
また麦の穂が長く収量が多い、草丈が短く太いため倒れにくいといった事もあり農家さんが作りやすく、愛知県のパン屋さんにとっては待望の地元産のパン用小麦です。
食パンなどではソフトでふっくらとしたパンとなり、リーンなハードブレッドでは歯ごたえのある香ばしいクラストと小麦の持つ甘さが感じられます。クラムは少し黄色味を帯びた見た目になるといった特徴があります。

【基準値：蛋白値 11.5±0.5％ 灰分 0.51±0.05％】
（※2017年度産データ）

きぬあかり

麺類などに適した小麦。
コシを生み出す質の良いグルテンを有し、うどん・きしめん作りに適した量のアミロースを含んでいます。
なにより農家さんにとって嬉しいのは沢山収穫できて、育てやすいという特徴があります。
ママパンでは毎年新麦コレクションの時に販売をさせていただいています。
スポンジ系ではソフトでウエットな仕上がりに、クッキーではザクザク感が得られます。
タンパクが少し低いので、パンにする際は天板を使ったフォカッチャなどに向いています。

【基準値：蛋白値 7.8％ 灰分 0.33％】
（※2017年度産データ）

畑見学ツアー前日は、あいにくの大雨...
成長期の小麦への影響が出ているのかと心配してツアーに参加したのですが、当日は雨も止みダメージは最小限に抑えられていました。
湿気が苦手な小麦のために、小麦畑と畝の間に溝を作り、雨水が畑内に侵入するのを防ぎ、水はけよくされていました。
圃場作りから、肥料を蒔く時期などJAさんが積極的に農家さんに指導されており、愛知県の小麦作りの熱心さが伝わってきます。

前日まで降り続いた長雨の影響で一部倒れてしまった小麦。乾燥が進めば元通りになるようです。

雨ニモマケズ、 風ニモマケズ。
すくすくと育つ小麦、その生命力には驚かされます。

小麦のある風景。意識しないとお米かと思ってしまいますが、今は5月...
そう、5月にお米は実りません。黄金色に輝く畑を見つけたら、それは麦畑ですよ。

ひょっとすると皆さんのお住いの近所の畑に小麦が育てられているかもしれませんね。
私の自宅近所でも似たような光景が広がっています。育てられているのは大麦ですが。

■左：「きぬあかり」、右：「ゆめあかり」一見すると非常によく似た麦の穂です。

■「ゆめあかり」「きぬあかり」について、熱心に質問されていた皆様。

見て、聞いて、触れて...その可能性に胸を膨らませる。
今年の「ゆめあかり」「きぬあかり」でどんなパンを作ろうか？

■お土産にいただいた「ゆめあかり」の穂。

■参加者の皆様と記念撮影。


6月に入れば、いよいよ収穫です。
長雨などの天候不良が無い事を祈りつつ、秋には新麦として「ゆめあかり」「きぬあかり」を皆さんのお手元に届けられる日を待ち望んでいます。

パンデュース米山シェフ、涼太郎・渡邉涼太郎シェフ、豊市・荒川シェフ、ポルカ鷲津シェフ、ココンキューブ伊藤シェフ、 トレマタンブーランジェリー林シェフ、やま市パン商店・山市シェフ、小麦家・吉村シェフ、パネ・ポルチーニ旗手シェフ、 三河屋ベーカリー岩田シェフ、パンパーネ勝間田シェフ、キングパン倉橋理事長ほか。

ご一緒させていただきありがとうございました。